なぜ移住を決めたのか?私たちがボルネオ島の東マレーシアに魅せられた理由

50代の夫、40代の妻、8歳の息子でボルネオ島(東マレーシア)にあるサワラク州・クチンへの移住を準備している3人家族です。私たちは、まず移住先を決める前に海外で生活することを漠然と考えていました。そして、夫婦で話し合い条件をあげてみました。

私たちが求めた移住先の条件

  • 子どもにとって良い環境か
  • 英語が通じる
  • 教育費
  • 長期ビザの取りやすさ
  • 生活コスト
  • 日本からのアクセス
  • 治安
  • 自然豊か

そして、色んな国の教育や生活コストなどを熟考した結果、マレーシアがいいのでは?と夫婦で意見が合致しました。

活気のあるマレーシアで子育てしたい

8歳の息子が巣立つまであと約10年。この10年をどこで、どのように子育てしていくかを夫婦で考えた時、子どもには未来に期待を持って進んでほしい!と思いました。国の中で醸成されている雰囲気は、子どもに大きく影響を与えると感じています。マレーシアは平均年齢28.5歳と若者が多く、とても活気のある国です。エネルギッシュな環境で子どもが未来に向けてワクワクしてほしい、希望を持って歩んでほしい、そう考えています。

なぜボルネオ島を選んだのか

マレーシアと決めた時は、日本人が多く移住している街・クアラルンプールのあるマレー半島をまず思い浮かべました。そこで壁にぶつかったのが、ビザの問題。今まで人気のあった長期滞在者向けビザMM2Hの経済条件が2021年10月〜大きく改定され、私たちにはとても厳しいものになっていました。何かいい方法はないか。さらに調べていると、マレーシアにもう一つのMM2Hビザがあることを知ったのです。

それが、サワラク州政府が独自に発効しているビザ「サラワク・マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(S-MM2H)」です。下に、MM2HとS-MM2Hの主に経済条件を簡単にまとめました。

経済条件/ビザMM2HS-MM2H
申請可能年齢35歳〜30歳〜
経済証明・月収
マレーシア国外で月4万リンギット (約126万円)以上
AND
・資産の証明
150万リンギット(4725万円)以上
・月収or公的年金証明
単身:7,000リンギット(約22万円)以上
夫婦:1万リンギット(約31.5万円)以上
OR
・預金額証明
単身:5万リンギット(約158万円)以上
夫婦:10万リンギット(約315万円)以上
定期預金マレーシア国内の銀行口座に
100万リンギット(3150万円)以上あること
サワラク州内の銀行口座に
単身:15万リンギット(約450万円)
夫婦:30万リンギット(約945万円)以上あること
1リンギット31.5円で換算(2023年9月時点)
※追記)MM2Hの新条件が発表されました。(2023年12月13日)

MM2Hについて、観光、芸術、文化省から2023年12月13日に新しい条件が発表されました。

申請可能年齢が30歳からに。プラチナ、ゴールド、シルバーの3つのカテゴリーに分かれ、それぞれ独自の経済要件になっています。

  • シルバー(銀行預金RM 50万 /約1560万円 )で5年間の滞在許可書と複数回の入国。
  • ゴールド(銀行預金RM200万 /約6240万円)で15年間の滞在許可書と複数回の入国。
  • プラチナ(銀行預金RM500万 /約1億5600万)で永住権。

S-MM2Hなら頑張れば手が届くかも。S-MM2Hビザでは、年間で30日以上サラワクに滞在しさえすれば、今のところはマレー半島を含めサワラク州以外での居住が可能なようです。しかし、今後サワラク州以外での居住が認められなくなる可能性もあり、それならば東マレーシアにシフトしようと私たちは決めました。

ボルネオ島。。。どんな場所なんだろう。学生時代、地理の授業で知った熱帯雨林地帯のあのボルネオ島。「緑に覆われたジャングル」以上の情報がなかった私でしたが、調べていくうちに、どんどんと東マレーシア・特にサラワクの州都であるクチンの魅力に魅かれていきました。

そして百聞は一見にしかず。家族3人でクチンの街へ下見旅行し、実際に目で見て雰囲気を肌で感じていくにつれ、一つずつ答え合わせをするように移住先としていい場所だなと確信して行ったという流れです。

このサイトを見てくださっている方々は、もしかしたらマレーシアの国の魅力はすでにご存知の方も多いかと思います。ここでは、同じマレーシアでも、西のクアラルンプールと東のクチンではどう違うのか比べてみました。

クアラルンプール クチン
人口 約198万人 約60万人
面積243 ㎢ 1498 ㎢
人口密度約8157人/㎢ 
(東京都の約1.3倍)
約407人/㎢ 
(静岡県より少し少ない)
うち日本人数1万2500人 (2022年10月時点)最新データ不明 
(2011年時はまだ87人) 
民族別割合マレー系(ブミプトラ): 47.7%
中華系: 41.6%
インド系: 10%
その他: 0.7%
マレー系(ブミプトラ): 62.8%
中華系: 36.5%
インド系: 0.4%
その他: 0.3%
宗教イスラム教: 45.3%
仏教: 32.3%
ヒンズー教: 8.2%
キリスト教: 6.4%
無宗教: 6%
その他:1.8%
イスラム教: 40.6%
キリスト教: 32.7%
仏教: 24.6%
ヒンズー教: 0.3%
無宗教: 1.1%
その他:0.7%
気温(年平均)&降水量最高気温: 31.9℃
最低気温: 23.5℃
年間降水量: 約2200 mm
最高気温: 31.2℃
最低気温: 23.9℃
年間降水量: 約3700 mm 
物価家賃(3ベッドルーム): 約14万円
電気ガス水道(85平米): 約7,300円
屋台で一食: 474円/人
家賃(3ベッドルーム): 約7万4千円
電気ガス水道(85平米): 約6,400円
屋台で一食: 316円/人
インターナショナルスクール数
&学費
113校
学費: 49万円〜300万円/年
5校
学費:23万円〜61万円 /年
治安
(クライム値が低いほど治安が良い)ちなみに東京は、24
クライム値: 62クライム値: 43
交通電車(高架鉄道・モノレール・MRT・KTMコミューター)
市内バス・無料巡回バス
車: タクシー・Grab/自家用車
電車:現状なし(2025年運行予定で水素燃料電池鉄道プロジェクト進行中)
市内バス:e-BUS
車: Grab/自家用車
データ出典は最下部に記載

クチンでは日本語が聞こえてこない

公表されているクチンの人口は「クチン市」と「クチン地域」で人数が違っていますが、約60万人はクチン市に絞った人数になります。人口や人口密度からも明らかですが、筆者がクチンで人気のショッピングモールに行った時も、そこまで混雑している印象はありませんでした。また、クチンにいる日本人の最新の数はわかりませんでしたが、クチンに滞在した2週間ほどで、日本語が聞こえてくることは一度もなかったことを考えるとそこまで多くはないようです。ただ、今回S-MM2Hビザの申請にあたりお世話になった現地エージェントの方曰く、最近は日本人の申請者数も増えているそうなので、今後少しずつ増えていく傾向にあるかもしれません。

クチンは豊かな民族多様性

クチンのあるサワラク州はマレーシア最大の州で、イバン族(Iban)やビタユ族(Bidayuh)の二大民族のほかオラン・ウル族(Orang Ulu)、メラナウ族(Melanau,)、ムルト族(Murut)、ケニヤ族(Kenyah)、カヤン族(Kayan)、ケダヤン族(Kedayan)、ケラビット族(Kelabit)、ベラワン族(Berawa)、ペナン族(Penan)、ビサヤ族(Bisayah)など26の異なる民族がいますクチンの魅力は、この豊かな民族と文化の多様性も理由の一つだと思います。異なる民族それぞれが互いを尊重して認め合う環境の中で、子育てだけでなく私たちも学んでいきたいと思っています。

雨の多いクチン

クアラルンプールと比べると気温については大きな差はありませんが、年平均の降水量で見るとクチンの方がかなり雨が多いことがわかります。日本全体の年間降水量が1600mmなので、クチンだけで3700mmはかなりの降水量ということになります。そして、この降水量の多さがクチンの豊かな自然を育んでいるんだと思います。年間を通じて最も雨が降るのが、12月(28日間/月)で、最も降らないのが、7月(17日間/月)です。私たちが訪れた3月と7月は乾季だったため比較的お天気の日が多く、雨が降ってもザーっと降って30分ほどでカラッと晴れるという感じでした。降った後は、気温も下がって過ごしやすかったです。

クチンの物価はクアラルンプールより安い

私たちは、クアラルンプールへは飛行機のトランジットでしか訪れたことがないため、現地で消費をしておらずクチンとの物価の違いを体感できていないのですが、あるリサーチ*によると家賃を除いた消費物価は、クアラルンプールよりクチンの方が5.6%ほど安く、家賃込みだと消費物価は16.2%も安くなります。

(*NUMBEO: Cost of Living Comparison Between Kuching and Kuala Lumpurより引用)

インターナショナルスクールの学費を含む教育費についてもクチンの方が安くなっています。クチンのインターナショナルスクールを含む学校の情報は、ここでは収まらないので、改めてアップしたいと思います。

クチンの犯罪率・安全性

クチンは、マレーシアの中でも犯罪率が低く比較的安全な街と言われています。私たち家族が子連れで街中を歩いていて特に危険な目に遭うことはありませんでした。異なる人種や宗教への攻撃などは少なく尊重しながら共存している環境です。しかし、 残念ながら犯罪が全くない場所はありません。クチン(サラワク)でも窃盗や車上荒らし、傷害、さらには殺人事件も報告されています。外出の際は、日本で生活をしている感覚であまりにも無防備にならないように心がけたいです。

クチンでの移動手段は車

2回の滞在を経て、クチンでの生活にやはり車は欠かせないなと実感しました。1回目のクチン滞在中の1週間は、移住後の生活のシミュレーションも兼ねていたので、レンタカーをして夫に運転をしてもらいました。日本と同じ右ハンドル・左側通行とは言うものの道路の所々に登場するラウンドアバウトと呼ばれるサークル状の交差点での車線変更に苦戦している様子でした。

またマレーシアは原油生産国でもあることから、何といってもガソリン代が安いです。レギュラー価格で比較してみるとほぼ日本の1/3。(2023年9月時点、1リンギット31.5円で計算 RinggitPlus参照)

RON95(レギュラー) : RM2.05(64.5円)/ℓ

RON97(ハイオク) : RM3.37(106円)/ℓ

Diesel(ディーゼル) : RM2.15(67.7円) /ℓ

上の写真にもあるように車社会のクチンでは、渋滞は必至。渋滞緩和はクチンの街にとって喫緊の課題です。

今後クチンの交通インフラが大きく変わる予感も!

この問題を解決するべく2025年運行予定で、地上や路面を走る鉄道プロジェクトが進行中です。この鉄道(Autonomous Rail Transit 略してART)は水素燃料電池を使用、運転手なし、300人収容できるとあって、渋滞の緩和やクチンの都市交通網の発展に一躍を担うと期待が寄せられています。地元の新聞*によると、クチンは日本の交通システムを目指していることから、交通省とサワラクメトロの代表者が日本を訪問し、再開発を進めている広島駅や、2023年8月に路面電車(LRT)が開通した栃木県宇都宮市(クチンと人口規模が似ている)へも視察に訪れたそうです。今後、クチンの街の交通インフラがどんな風に変化していくかも興味深く見ていきたいと思います。

(*The Borneo Post: MOTS, Sarawak Metro aims to emulate Japan for Kuching Urban Transportation Systemより引用)

余談

クチンが好きになった理由に、豊かな自然が街の日常の風景にあることが挙げられます。これは余談になりますが、夫が以前からハワイ島がとても好きで、家族でもコナやヒロの街を訪れたことがありました。そこはとても自然豊かな場所。いつか住んでみたいとも考えていました。そして数年が経ちS-MM2Hビザを通じて東マレーシアに導かれ、クチンの自然を目にした時、思わず「ハワイ島の雰囲気に似てる!」と感激したことを覚えています。私たちにとっては、これもクチン行きを決める大きな理由になりました。

まとめ

まとめてみて改めて感じたことは、様々なインフラが整ったクアラルンプールに対して、クチンはこれから発展していこうと動いている街だということです。2024年春〜夏頃の移住を目指している私たちですが、このクチンの活気を感じながら生活することが今から楽しみです。そして、ご覧いただいた方にもクチンの魅力が伝わったら幸いです。もし、私たちと同様に移住先をクチンへ決めた方がいらっしゃったら、いつか街のどこかでお目にかかれる日を楽しみにしています!

人口, 人口密度, 民族別人口割合データ元) Department of Statistic of Malaysia (2020年時点)/ KL邦人数: Statista Research Department /気候比較データ元)Weather Spark から平均気温算出/インターナショナルスクール数データ元)KL:International School Database Kuching: Education Destination Malaysia /物価&治安のデータ元)NUMBEO

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