私たちは、ボルネオ島に位置する東マレーシア・サラワク州への移住を予定している3人家族です。現在、資産運用の方法として、つみたてNISA、 iDeCo、米国株投資をしていますが、日本を出て非居住者になる場合、日本の証券会社での取引は停止となってしまいます。そのため、私たちは移住前にすべて売却し解約する予定です。(iDeCoの解約は原則としてできないため、運用指図者への切り替え手続きをする必要がある)
そしてマレーシア移住後の資産運用として、株式投資を改めて始めることも考えていますが、もうひとつの資産運用として定期預金の利子所得があります。そこで定期預金が条件となっている私たちが申請中のビザ、移住後の資産運用シミュレーションについてまとめましたので参考になれば幸いです。
長期ビザS-MM2Hの経済条件
私たち家族が申請しているのは、東マレーシアサワラク州が独自に発行しているS-MM2Hビザで、有効期間は5年間、その後必要条件をもとに更新が出来れば10年間有効です。S-MM2H申請時に、下記、AとBの経済条件を満たす必要があります。
A条件:①〜③のいずれか ※1RM=30円で計算(2023年6月26日時点) 通貨変換ツール
①マレーシア国外での月収入 単身: RM7,000 (約21万円)夫婦: RM10,000 (約30万円・夫婦合算不可) 以上
②銀行普通預金口座 単身: RM50,000 (約150万円)夫婦: RM100,000 (約300万円・主申請者の口座) 以上
③母国の銀行で定期預金 単身: RM50,000 (約150万円)夫婦: RM100,000 (約300万円・主申請者の口座) 以上
B条件:サラワク州内の銀行で定期預金口座を開設する必要があります。
その場合の必要預金額:
単身:RM 150,000 (約450万円) 夫婦:RM 300,000 (約900万円) 以上
日本の居住者が、マレーシアの銀行口座を持つことは原則としてできませんが、マレーシア移住後はマレーシア国内に銀行口座を持つことができます。
なお、このB条件である定期預金は、S-MM2Hプログラムを終了するまで解約出来ず、預けた預金も自由に引き出したりは出来ないのがデメリットではあります。しかし、預けっぱなしの期間に預金額×金利分を利子所得として得ることができます。
また定期預金からお金を引き出す場合、S-MM2Hビザのプログラム下では2年目以降、以下の利用理由であれば、定期預金の一部(最大40%)の引き出しが可能です。
私たちも車の購入や、子どもの学費のために引き出しが必要になることを考え、最大40%引き出した場合でシミュレーションしました。(定期預金の残高は、単身: RM 90,000(約270万円) 夫婦: RM 180,000(約540万円)を維持する必要があります。)
預けておくだけで資産運用
マレーシアの銀行に定期預金を1年間組んだ場合の金利は3%前後です。
マレーシアの主要銀行の金利を比較できるサイトがありますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
1年間で定期預金を組んだ場合、1年後に利子所得を得ることもできますが、引き出さずにそのまま定期預金1年を更新した場合は、年ごとに複利の恩恵を受けることができます。
計算してみますと・・・
利率が3%の場合、預金額に0.03をかけた金額が利子所得になります。
元金+利子所得を出すために1.03をかけて計算しました。
1年目) RM 300,000×1.03=RM 309,000 (+RM 9000≒27万円)
2年目以降 必要な額を引き出して RM 180,000にした場合でも3%ずつ複利を味方につければ・・・
2年目) RM 180,000×1.03=RM 185,400 (+RM 5,400≒16.2万円)
3年目) RM 185,400×1.03=RM 190,962 (+RM 10,962≒32.8万円)
4年目) RM 190,962×1.03=RM 196,690 (+RM16,690≒50万円)
5年目) RM 196,690×1.03=RM 202,590 (+RM 22,590≒67.7万円)
6年目) RM 202,590×1.03=RM 208,667 (+RM 28,667≒86万円)
7年目) RM 208,667×1.03=RM 214,927 (+RM 34,927≒104.7万円)
8年目) RM 214,927×1.03=RM 221,374 (+RM 41,374≒124.1万円)
9年目) RM 221,374×1.03=RM 228,015 (+RM 48,015≒144万円)
10年目) RM 228,015×1.03=RM 234,855 (+RM 54,855≒164.5万円)
最初の540万円を入れて何もしないで10年後には704万円に。
また定期預金で得た利子所得について、マレーシアは非課税のため税金はかかりません。
一方で、日本の定期預金金利は 0.002%です(2023年6月時点)。30万リンギット相当、およそ900万円を12ヶ月預けた際、税引き前の利息は、180円で、ここから税金が引かれるので144円ほどになってしまいます。144円に対して、27万円ということを考えると、マレーシアの定期預金での資産運用が、いかに魅力的かがわかります。
しかし、金利は変動するので、10年間同じ条件で運用できるとも限らないため、金利状況を確認しておくことは必要だと思います。ちなみに、マレーシアの金利は2004年から2023年まで平均2.85%で、2006年4月には史上最高の3.50%に達し、2020年7月には史上最低の1.75%でした。(出典: Trading Economics)
おわりに
今後、マレーシアの銀行で実際に定期預金口座を開設予定なので、そこでの手順や気づいたことなどを追記していきたいと思います。
追記)日本のメガバンクの定期預金金利が0.125%に利上げされましたので、上記の日本の利子益の数字が異なります。また2025年1月からS-MM2Hの資産条件が変わります。詳しくはこちらをご覧ください。