Head for Kuchingのサイトへようこそ!いざ家族で海外移住となった時、日本を出国する日が迫る中で、済ませておくべき手続きがたくさんあることに気付かされます。2024年8月に東マレーシアに移住してきた私たち3人家族も、日本を出国するまでに、様々な契約の解約や整理、手続きを済ませました。意外と見落としがちな手続きもあったので、今回は私たちが行ったものをまとめてみたいと思います。
海外転出届
海外移住の際、住民票を「抜く」か「抜かない」かはそれぞれの状況で選択をするかと思います。基本的には日本から海外に移住、もしくは長期(1年以上)で海外に滞在する場合に「海外転出届」は、必要な届出です。お住まいの市区町村の窓口で「転出届」を提出し住民票を抜く(除票する)手続きをします。届出は転出日の2週間前からできますが、実際の転出日(渡航日)を記入するので、手続きをした日ではなく、転出日をもって住民票が除票されます。また転出届の書類には、新旧の住所を記入する欄がありますが、新住所の欄は、国名のみで構いません。
手続きには、マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。自治体によって必要なものが異なる場合があるので、詳しくはお住まいの市町村のサイトでご確認ください。
国民健康保険証の返納
転出届を提出すると国民健康保険の対象外になるため、脱退手続きも併せてに行います。市区町村役場で「国民健康保険被保険者資格喪失届」を提出して脱退しますが、その際、担当窓口で保険料の還付または納付が必要かどうかを精算します。脱退手続きをしても、転出日の前日まで保険証は有効なので、私たちはその場で保険証を返納せず、専用の返納用封筒を受け取り、後日郵送で返納しました。
国民年金の脱退
第1号被保険者※が海外に居住する(転出した)ときは、自動的に国民年金の資格も喪失します。(※第1号被保険者: 日本国内在住の20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生および無職の人、その配偶者)
ただし国外転出の日本人で国民年金の継続加入をしたい場合は、「国民年金被保険者関係届書」にて「任意加入の申し出」をすることで継続することができます。(詳しくは国民年金任意加入の手続きをご覧ください。)
国外転出者向けマイナンバーカードへの切替え
マイナンバーカードは令和6年5月27日から、日本国外転出届を出した後も継続利用できるようになりました。メリットとしては、国外でマイナポータルの利用や年金の現況届※ができる他、帰国後にカードの再交付手続きが不要です。個人的には海外での必要性を感じていませんでしたが、再交付の際の面倒を省けるのであればという思いで切り替え手続きをしました。(※海外在住で年金を受け取る場合、年1回誕生月末に「現況届」の提出が必要)
そしてマイナンバーカードを継続するためには、国外転出日の前日までに住民票のある市区町村の役所にて以下の手続きが必要です。
①「マイナンバーカード及び個人番号カード国外継続利用申請書」を提出
②カードの顔写真横の欄に「国外転出 ○年×月△日」と追記、ICチップ内の住所の記録を変更してもらう
③国外転出者向けの電子証明書の発行手続き
処理が終わり返却されたマイナンバーカードは国外転出後も利用可能になります。
※以上の手続きを行わないまま国外転出をすると、マイナンバーカードは国外転出予定日に失効します。
注) 上記の手続きに4桁の暗証番号と+6桁の署名用電子証明書用暗証番号が必要になります。
マイナンバーカードの返納手続きをする場合
国外転出届を出した後、マイナンバーカードの継続が必要ない場合、役所で返納届を出してマイナンバーカードを返納できます。返納した場合は、次に再交付する際の手数料は無料になります。(通常の再交付手数料 800円+電子証明書200円)
iDeCoの拠出休止
iDeCoの加入者が住民票を抜いて海外転出する場合でも、国民年金の任意継続をした場合は、iDeCoの拠出を継続できます。しかし、私たちは国民年金の継続を希望しなかったため、iDeCoの拠出を止める手続きをしました。
そもそもiDeCoは、毎月一定額を積み立てながら投資信託などの運用を行い老後資金をつくるための制度のため、原則60歳までは途中解約ができません。したがって拠出を止めて、運用は継続するという「運用指図者」と言う状態にする必要があります。(この間も口座管理手数料66円~は毎月かかります。)
拠出を止める手続きは、「加入者資格喪失届」(iDeCo公式サイトより) というものを国民年金基金連合会へ提出します。書類の中で喪失理由を問われる項目がありますが、ここは「01 日本国内に住所を有しなくなった」ではなく「04 運用指図者となるため」を選択することをお勧めします。
なぜなら海外転出を理由にすると・・・
・住民票除票の写し(コピーではなく、「写し」の原本)
・出国予定先が記載されている住民票の写し(コピーではなく、「写し」の原本)
・在留証明書(出国先のもの)
の書類の送付が求められますが、上記の書類を転出する前に揃えるのは不可能です。
私たちは喪失理由を「04 運用指図者となるため」にしたことで、他の提出書類は必要ありませんでした。また「海外居住者情報」の項目も記入せず、連絡先の部分に国内の連絡先(実家)を記入して提出しました。
国際運転免許証の取得
日本の運転免許証をお持ちの方は、国際運転免許証を取得することで、ジュネーブ条約締約国に加盟している国であれば、車の運転ができます。マレーシアも加盟国のため、私たちは出国する1週間ほど前に国際運転免許を取得しました。
【申請場所】・各都道府県の運転免許センター ・運転免許更新センター ・指定警察署
【必要書類】※自治体によって異なる場合があるので、お住まいの警察署のサイトで確認ください。
- 運転免許証
- 写真1枚(縦4.5cm×横3.5cm パスポート用のものと同じサイズ)
- 古い国外運転免許証がある場合は、その国外運転免許証
- パスポート(原本)
【費用】2,350円
有効期間は発行日から1年間で、更新制度はありませんので、長期で海外に滞在予定の方は1年ごとに新たに申請する必要があります。国内運転免許証の有効期限が1年を切っている場合は先に更新手続をしてから国際免許を申請してください。また国際運転免許証は、申請したその日に受け取れるため、私たちは渡航の数日前に申請することにしました。
国によっては国際運転免許証だけでなく日本の運転免許証の提示を求められることもあるので、一緒に持っておく必要があるようです。
準確定申告書の提出
準確定申告とは、確定申告をする必要がある給与所得者が、国外に転出する際、転出までに行う確定申告書の提出と納税をすることを言います。国外転出までに申告書の提出や納税ができない(出国後も日本で課税される所得が発生する)場合は、本人以外が確定申告書を提出するために、「納税管理人」を決めて届出書を提出することになります。(ご自身はどれに該当するか確認されたい方は国税庁のホームページで紹介されていますのでリンクをご覧ください。)
私は毎年の確定申告はe-Taxで行っていたため、準確定申告書の提出もできるか移住直前の8月にe-Taxに入ってみたところ、書類作成の項目には前年度(令和5年)のものしかありませんでした。そこで、税務署に問い合わせたところ、今年度版への更新は年明け以降のため、書類作成には前年度版を使って構わないとのことでした。
ただ提出については、作成した書類を印刷をしてタイトルを「令和5年分の確定申告書」から「令和6年分の準確定申告書」と手書きで直し、付箋に「○月○日海外出国のため準確定申告書を提出」と書いて貼付した書類を税務署に提出することを勧められました。
郵便の住所変更
転居後に旧住所に郵便物が届いてしまっても、受け取れないですよね。それを防ぐために、郵便局に「転居届」を出しておくと、指定の住所(国内)へ転送してもらうことができます。転送先をご実家などに指定できる場合には、転居前に済ませておくと便利です。
「転居届」の用紙は、全国の郵便局で入手可能。詳しい書き方は「転居届の書き方」(郵便局公式サイトより)をご覧ください。
提出方法は、①ネット ②郵送 ③窓口の方法があります。
転居届の提出時、本人確認ができるものを提示する必要があるので、私は窓口がスムーズかと思い郵便局で行いました。実際手続きは5分ほどで済みました。郵送の場合は、本人確認書類のコピーを貼付して、専用封筒で郵送します。ネットで提出する場合は、アカウントを作成してゆうIDを取得してから手続きを進めます。
ネットでの転送手続き⏩ こちら (日本郵政グループ e転居)
注)いずれの方法でも転送期間は手続きをした日から1年間です。転送期間経過後は、差出人に返還されるので注意が必要です。
NHKの解約
家族全員で「海外転出」をされる場合、NHKの受信契約をした住居にだれも居住しなくなるなるため、解約の対象となります。まず手続きには電話で解約の意向を伝えます。
NHKふれあいセンター(フリーダイヤル)
☎︎0120-222-000
もしくは
☎︎0120-151-515
※IP電話等で上の番号を利用できない場合
050-3786-5003(有料)
※受付時間はいずれも午前9時~午後6時(土・日・祝も受付)
電話をしてから1週間ほどで「放送受信契約解約届」が届きます。解約理由欄には「○月○日、家族全員が国外転居するため」を記入、押印をして、送り返します。解約が成立するまでに私たちの場合、3週間ほどかかりました。
解約が成立するとネットで今まで見られていたNHKの同時・見逃し配信サービス「NHKプラス」の視聴も自動的にできなくなります。
自動車の任意保険の中断手続き
自動車を手放した後、任意保険の解約を考えている方もいらっしゃるかと思います。ただ、任意保険は一度解約してしまうと、また新たに契約するときにノンフリート等級がリセットされるため、保険料が割高になってしまいます。
ノンフリート等級とは、1等級から20等級まであり、無事故であれば等級が上がり、保険料が割引される仕組み。
しかし、海外移住などのやむを得ない事情がある場合には、「自動車保険の中断制度」を利用することができ、その等級が保持できます。
中断手続きの方法は加入されている保険会社に従っていただければと思います。手続きが完了すれば、「中断証明書」が発行され中断日翌日から10年間、等級が維持されます。
この等級は、再開する場合、他の損害保険会社やJA共済などでも引き継ぐことができるため、帰国後に保険会社を検討する際の選択肢を広げることもできます。
もちろん中断期間の保険料の支払いは必要ないため、年払いしていた場合も中断日以降分の保険料は後日返金されます。
番外編
自転車の防犯登録の抹消
私たちは防犯登録をしている自転車を県外の親族に譲りました。防犯登録の有効期限は登録した日の翌年初から10年間(※自治体によっては20年間)です。登録から7年ほど経ってはいましたが、念の為、私たちも警察に登録されているデータを抹消する「防犯登録の抹消手続き」をしました。
自転車に貼られている「防犯登録シール」を剥がしちゃえば問題ないのでは?とも思ったのですが、どうやら車体に刻印されている車体番号と紐づいていることが多いそうです。自転車を譲渡・売却をされる場合は、出来れば抹消手続きをすることをおすすめします。
抹消手続きができるのは、「自転車防犯登録所」の看板が掲示してある防犯登録所(自転車店・スーパー・ホームセンター・家電量販店等)にて手続きができます。
防犯登録シールの貼られた自転車本体と本人確認ができる公的発行の身分証明書があれば、5分〜10分ほどで完了します。
超格安SIMの購入
海外移住の準備中、つい見落としがちな手続きの一つが「日本の電話番号の保持」です。日本に一時帰国する際、日本の電話番号を維持しておくと非常に便利です。
日本の大手携帯キャリアでも一時休止サービスを提供していますが、料金が比較的高い上に、一時帰国時にすぐ利用できないというデメリットがあります。このため、電話番号を安く、そして便利に維持するには、格安SIMへの変更が効果的です。
私たちは 超格安SIM に変更することで、月額料金を抑えながら日本の電話番号を維持しています。料金プランやサービス内容は各社で異なりますが、データ通信量の少ないプランを選ぶことで、かなり安価に番号を保持できます。
ただし、この手続きには開通まで1~2週間かかることがあるため、移住準備中の忙しい時期に余裕を持って手続きを進めることをおすすめします。
まとめ
以上が、私たちが移住前に行った主な手続きです。思いつくものを並べてみましたが、それぞれの手続きのタイミングが異なるため、だいたい移住の2ヶ月ほど前から、どのような手続きをいつ進めるべきか確認し、全体のスケジュールをイメージしておくと良いと思います。少しでもこの内容が、移住準備のお役に立てれば嬉しく思います。