
海外移住者が増えている中、東マレーシアに居住するための長期ビザS-MM2H(サワラク-マレーシア-マイ-セカンド-ホーム)に今注目が集まっています。2025年1月に新しい条件での受け入れがスタートしましたので、S-MM2Hビザの発行元であるサワラク政府の公式資料をもとにQ&Aで申請条件をまとめました。
S-MM2Hとは?
Sarawak Malaysia My Second Home(S-MM2H)は、一定の条件を満たした外国人に対し、サラワク州での長期滞在を認めるビザプログラムです。
この制度により、申請者はマルチプルエントリー(数次入国)可能なソーシャルビジットパスを取得し、サラワクを「第二の故郷」として滞在することができます。
他のマレーシア地域とは異なり、サラワク州独自で運営されているのが特徴で、定住やリタイア後の生活、または家族とともに自然豊かな地域での暮らしを希望する外国人に人気があります。
申請方法は?
申請は、ライセンスを持つS-MM2H代理店またはサラワク州民にスポンサーになってもらい、サラワク州観光・創造産業・舞台芸術省(MTCP)公式サイトの提出書類チェックリストに基づいて必要書類を揃えてオンラインで提出してもらう必要があります。
政府認定のS-MM2H代理店はこちらをご確認ください。
- 履歴書
- S-MM2H申請書
- ビジットパス申請書
- 無犯罪証明書※提出時点から12か月以内に発行されたもの
- パスポートの認証コピー(全ページ、表紙から裏表紙まで)※申請時点で残存有効期間が24か月以上必要
- パスポートサイズの証明写真(6枚) ※背景は青色
- RBIIフォームおよびサラワク州内の病院で発行された健康診断書→各ページに病院の医師の署名と認証が必要。さらに各ページを政府系病院で承認してもらう必要あり
- マレーシア国内で加入した医療保険の認証コピー →60歳未満の申請者が対象※S-MM2Hパスの有効期間中、医療保険でカバーされている必要あり
申請は、30歳以上であれば可能です。過去には30代、40代、50歳以上と年代別に条件が決められていましたが、新条件では年齢別の区分けなくなりました。
資産条件は?
上記の必要書類に加えて申請者は、以下のいずれかの方法で十分な財政的能力を証明する書類の提出が求められます:
- 定期預金(Fixed Deposit)
- 年金収入/海外からの収入(Pension Income / Offshore Income)
- 貯蓄資金(Saving Funds)
1の定期預金+2の収入証明 or 3の貯蓄証明いずれかの組み合わせで、財政的な裏付けを提示する必要があります。
定期預金 (Fixed Deposit)→必須
主申請者は、サラワク州内の指定ローカル銀行で定期預金をRM500,000.00(1,700万円)を組み、認証コピー(Certified Copy)を提出します。
- AFFIN BANK
- MAYBANK
- ALLIANCE BANK
- HONG LEONG BANK
- UOB BANK
- HSBC BANK
この定期預金は、S-MM2Hが承認されてから2年目以降に50%は引き出せます。(ただし、不動産・車の購入、医療費、子どもの学費の目的に限ります。)
年金収入/海外からの収入
年金収入を資産証明として提出する場合、必要なもの;
・年金受給証明書の認証コピー
・直近3か月分の、政府承認済み年金の入金明細
- 月額RM10,000・34万円以上(個人)
- 月額RM15,000・51万円以上(個人+扶養家族)
海外収入を資産証明として提出する場合、必要なもの;
・雇用証明書のコピー
・直近3か月分の給与明細および銀行取引明細
- 月額RM10,000・34万円以上(個人)
- 月額RM15,000・51万円以上(個人+扶養家族)
貯蓄資産による証明
貯金額を資産証明として提出する場合、必要なもの;
・銀行口座の取引明細(過去3か月分)の認証コピー
– RM100,000・340万円以上(個人)
– RM200,000・680万円以上(個人+扶養家族)
有効期間は?
有効期間は最長10年間(5年+5年)
最初は5年間のパスが発行され、条件を満たせばさらに5年間の延長が可能です。
更新時(5年後)は、現行の参加者は当初の申請条件に基づいて更新されます。
※つまり、新しい制度が導入されていても、更新では当初の条件が適用されます
10年経過後は、新規申請扱い(NEW APPLICATION)となり、
その時点の最新の制度・条件に従って再申請する必要があります。(失効の6ヶ月前までに)
申請の手数料は?
2025年1月1日より、すべてのS-MM2H申請には処理手数料RM5,000.00(返金不可)、日本円で約17万円が必要となります。申請は、手数料の支払いおよび必要書類の全提出をもって受理され、不備がある場合は却下されますのでご注意ください。その場合、手数料が戻ってこないので注意が必要です。
(※RM1 = 34円で換算・2025年6月時点)
手数料以外にかかる費用は?
S-MM2H(Sarawak–Malaysia My Second Home)におけるパーソナルボンド(Personal Bond)とは、申請者に代わってスポンサー(保証人)が提出する保証書類であり、申請者がマレーシア滞在中に法律違反などを起こした場合に責任を負うことを約束するものです。
ここで納める保証額は、国籍によってRM150~RM2,000と異なります。日本国籍の方はRM1,000で、これはS-MM2Hを解消した場合に返金されます。また支払いは、主申請者のみなので、家族で申請した場合でもRM1,000のみです。
S-MM2Hが承認されると2種類のパスの支払いが必要になります。
- ソーシャル・ビジット・パス (Social Visit Pass) ・・・マルチプルエントリー(数次入国)できるパス。RM500/年 × 5年分 = RM2,500のパス費用 この費用は1人にかかる費用なので配偶者がいる場合は、さらにRM2,500かかります。また子どもや親を帯同する場合は、1年ごとの申請になるためRM500がかかります。
- JP Visa (Journey Performed Visa)・・・シングルエントリービザRM500/回(1回のみの入国ビザ)で、マレーシア国外からのビザ取得を行わずに入国し、マレーシア国内でビザ申請をする場合に発行される特別なビザ。日本人はマレーシアにビザなしで入国が出来るため、S-MM2Hの手続きの際には原則、このビザ代を支払います。
S-MM2Hを申請する際に必須であるサラワク州内の病院での健康診断費用。S-MM2Hの認定病院では、S-MM2H用のヘルススクリーニングプランを用意しています。この金額は病院によって異なりますが、ご参考までに私たちが受けた病院の金額をお伝えします。
Borneo Medical Centre・・・RM168
さらに、診断結果に政府系病院の医師による認定サインをもらう必要があります。
政府系病院での認定サイン・・・RM40
60歳未満の申請者は、S-MM2Hパスの有効期間中、医療保険の補償を受けている必要があります。申請時にマレーシア国内の保険会社で加入した医療保険の認証コピーを提出する必要があるため、あらかじめ保険に加入します。その費用は保険会社や契約者の年齢によって異なりますので、ご参考までに筆者家族が加入している保険会社の保険料をお伝えします。
夫 RM968.40 妻 RM846 息子(9歳) RM435.60 家族3人Total RM2,250
その他に、日系代理店にお願いする場合、直接現地のS-MM2Hの代理店にお願いする場合も手数料がかかると思うので、合わせて確認しておく必要があります。
必要な滞在日数は?
他の国に居住しながらS-MM2Hのステータスの保持を検討されている方もいるかと思います。S-MM2Hステータスを維持するために、パス保有者は毎年累計最低30日間サラワクに滞在することが義務付けられています。
2025年の条件更新では、この滞在義務が主申請者のみに適用されることが明記され、扶養家族にはより柔軟な滞在が認められています。
健康診断
健康診断にはどんな書類が必要?
RB IIフォーム(MTCPのウェブサイトからダウンロード可能: S-MM2H Application Form)と、尿検査、血液検査、X線検査を含むすべての健康診断結果が必要です。
健康診断はどこで受けられる?
健康診断はサラワク州内の認定医療機関で受けることができます。(サラワクで実施された健康診断のみ受理されます。)私立の医療機関で健康診断を受ける場合、申請者は公立病院または政府診療所にて医師から健康診断書と結果を証明してもらう必要があります。
また私たちが実際に健康診断をしてきた様子もまとめました。
扶養家族
申請者の扶養家族になれるのは?
主申請者の帯同者(Dependent)として一緒に申請できるのは、配偶者、申請者の両親、義理の両親、申請者の21歳未満の未婚の子ども。
不動産購入
S-MM2Hの参加者はサラワクの不動産を購入できる?
S-MM2H保持者は、サラワク土地法に基づき住宅用の物件を購入することが許可されています。
ただし、その物件の価格は以下の条件を満たす必要があります:
- クチン地区の場合:最低RM600,000
- その他の地区の場合:最低RM500,000
不動産購入は必須条件ではなく、任意です。
また申請者は、不動産を5年間所有した後に売却することができます。
この条件は、S-MM2H制度を利用した短期的な不動産投資目的の転売を防ぐために設けられています。
教育
子どもはサラワク州内で就学が必要?
いいえ。扶養の子どもはサラワク州内の学校に就学しなければいけないという条件は撤廃されました。サラワク州内の学校に子どもが通う場合は、別途「学生パス (Student Pass)」の取得が必須です。
まとめ
2025年1月発効のS-MM2H新条件は、これまでと比べて大幅な改訂が行われ、財務条件や滞在要件など多くの点で見直しがなされました。今後も政府の方針や制度内容が変更される可能性があるため、最新情報を継続的に確認していくことが重要です。